大判例

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岡山地方裁判所 昭和25年(行モ)2号 決定

申立人代理人は「被申立人委員会が昭和二十五年五月十一日付でなした申立人上有漢村議会の解散の賛否の投票を同年五月三十一日に行う旨の告示の執行の停止を命ずる。」との決定を求め、その理由とするところは訴外藤森正一ほか六人は、申立人議会を不適任として解散の運動を起し、その請求代表者となり、昭和二十五年三月二十一日解散請求者署名簿に選挙権者四百六十人の署名なつ印を得たと称して、これを被申立人に提出し、被申立人は有効な署名数四百三十三人で有権者総数千二百七十五人の三分の一である四百二十五人を超過したものとして、その解散請求を受理し同年四月二十一日その旨告示をなし同年五月十一日付をもつて、申立人議会の解散の賛否投票を同年同月三十一日に行う旨の告示をなした。しかし、右署名中には、自署でないもの五十四人、署名後被申立人に対し取消を申し立てたもの四十一人、この合計九十五人となり、これを差し引くと法定の必要数である四百二十五人に達しない。従つて藤森正一ほか六人を代表とする解散請求は無効である。そこで申立人は御庁に対し右告示無効確認の訴を提起しているのであるが、その結果を得るに先だつて本件解散の投票は執行せられようとする形勢にある。もし、右投票が執行されたならば、申立人は解散の憂目にあうおそれがあり、別にこれに対しては異議の申立が許されるとはいえ、申立人である議会の地位に対し償うことのできない侵害を加えられ、申立人の名誉をき損されることまた甚大なものがある。しこうして、一度侵害き損された名誉は到底償うことができない、というにある。

しかし、本件の場合における普通地方公共団体の議会の解散の投票に関しては、昭和二十五年法律第百一号第二十七条同年法律第百四十三号付則第十項同年政令第百十三号付則第二項同年政令第百十九号付則第三項に則り昭和二十五年法律第百一号第三条および同年法律第百四十三号による改正以前の地方自治法ならびに前二回の政令による改正以前の同法施行令を適用すべきもので、同法第八十五条により原則として同法第四章選挙の規定が準用せられ同法施行令第百八条同法第六十六条が適用され、当該選挙人(投票人の意と解す)または当該議会が選挙(投票の意と解す)の効力に関し異議があるときは投票の日から十四日内に当該選挙管理委員会に対し異議を申し立て、これに対する決定に不服あるものは都道府県選挙管理委員会に対し訴願をなし、右決定または訴願に対する裁決に不服がある者はその決定書もしくは裁決書の受領またはその告示の日より三十日以内に高等裁判所に出訴することができるようになつている。しこうして当該議会の議員は同令第百五条により、右決定裁決または判決が確定するまでは失職しないものである。以上をそう合してみると、本件解散の賛否投票日を定めた告示によつてはまだ当該議会である申立人の地位を侵害しその名誉をき損したものというを得ないので訴訟をなす正当な利益があるものとは認められない。

また、行政法規の適法な適用については、投票の施行後においてその投票の効力につき異議申立、訴願を経て高等裁判所に出訴することによりその公正を確保することができるので地方自治法は投票施行前の個々の手続については争訟の対象としていない趣旨と解せられるので、いずれにしても本件解職の賛否投票日を定めた告示の効力を争う訴訟は許さるべきものでなく、従つて、また、右告示の効力の停止を求める本件申立も許されないものとして却下するを相当と認める。よつて申立費用の負担については行政事件訴訟特例法第一条民事訴訟法第九十五条、第八十九条に従い、主文の通り決定する。

(裁判官 中島貢 菅納新太郎 辻川利正)

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